会誌ホツマ創刊にあたって    鏑 邦男

「ホツマツタヱ」発見者、松本善之助先生の三十年にわたる血のにじむようなご努力が神に通じたのか、平成四年五月、「ホツマツタヱ」執筆者、三輪氏大田田根子命の直系の和仁估安聰(わにこやすとし)筆録の「秀真政伝紀」全巻が発見され、その覆刻本が翌年九月に刊行されました。また、昨年には、安聰原文対照訳本として拙著「ほつまつたゑ 全」を浅学非才の身も顧みず出版いたしました。未だ不完全なものとはいいながら、これらの図書によって日本の古代に関心を持たれる方々に、ホツマ研究のため最も必要な基礎的資料を提供できたものと存じております。

「ホツマツタヱ」はご存じの通り縄文時代晩期より弥生時代までの日本の国づくりの歴史を記述したものです。しかしそれは単なる歴史書にとどまらず、香り高い最高の文学作品ともいえるもので、その内容は考古学、宗教、民俗風習、言語、音楽、食物、動物、植物、鉱物、暦学、天文学、刑法、建築、乗馬など広汎な分野に及び、それぞれの専門の立場からの研究が待たれます。
また、ホツマの舞台は、北は津軽から南の鹿児島にまで及び、ホツマに関係する土地、神社、遺跡、風俗、行事、方言などは日本全土いたる所にあり、その正しい由緒、発祥のいわれなどが究明されることを待っています。
日本の神社は、畏れ多いことながら伊勢神宮をはじめとして、殆どの神社の由緒も祭神も曖昧でその正しい姿は伝えられていません。これは「古事記」「日本書紀」の編纂、神仏習合などと密接な関係があります。これらの事柄についても明らかにしていきたいものです。
本誌の目的は、日本中にあるこれらのことを掘り起こし、その実相を探求することにあります。全国の、古代に関心を抱く方々には身近にあるこれらの事柄をお調べの上、ご寄稿頂ければ幸いに存じます。
ホツマ研究者の先達者、松本先生が二十年以上にわたり続けてこられたホツマ研究誌「月刊ほつま」は、積年のご心労が先生の身体をむしばみ、数度の手術を受けられたこともあって体力的にも限界となり、この程ついに廃刊の止むなきに到りました。先生が灯し続けてきたホツマの灯を絶やすことなく、そして蒔かれた種がいま漸く芽を出したところです。これが大きく育ち拡がるよう努力しなければの思いで一杯です。
幸い、松本先生はじめ、東京赤坂会の仲間、中部、近畿在住の古くからの会員、地元東北の同志を中心として多くの方々のご賛同ご支援を得ることができました。日本の心そのものである『ホツマ』が、日本中に行き亘ることを祈りたいと思います
(会誌ホツマ 編集人)

平成七年一月一日創刊号 巻頭言

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